1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/18(火) 05:38:05.04 ID:r7UgrkkC0
どうしてこうなった――。
暴れ狂う梓のツインテールに締め上げられ遠のいていく意識の中で、
律は自分の犯した過ちをただただ悔やんでいた。
事の始まりは数日前、部活での些細な出来事だった――
4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/18(火) 05:39:50.71 ID:r7UgrkkC0
唯「おいーす」
紬「いらっしゃい唯ちゃん」
澪「遅いぞ」
梓「でも今日はもっと遅い人がいますね」
澪「律か…あいつ何してんだ」
ガチャ!
律「おーーーっす!私だよんっ!!」6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/18(火) 05:58:17.65 ID:r7UgrkkC0
澪「私だよんじゃないだろ、何してたんだよ」
唯「りっちゃんのお菓子取っちゃうとこだったよ?」モグモグ
梓「とか言いながらもう半分食べてるじゃないですか…」
紬「すぐお茶出すわね?」
律「さんきゅームギ! へっへ、皆これ見てみろよ!」
バァアアーーン!
澪「…なんだこれ?」
唯「うーん…土器?」
梓「矢じりじゃないですか?」
律「梓が正解だな!」
律が取り出したのは一見するとアクセサリーにも見える鏃だった。
磨き上げられたそれは窓から差し込む陽を受け、鈍く金色に光っている。7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/18(火) 06:00:49.45 ID:r7UgrkkC0
澪「ふーん、装飾用なのかな…きれいだな。どこで見つけたんだ?」
律「体育の時間にさー、唯とキャッチボールしてたんだけど」
唯「え、あの時?」
律「うん、唯のノーコンピッチではずれたボール取りに行って落ちてるの見つけた」
澪「誰かの落し物じゃないか?ピカピカだし落ちて間もないんじゃ」
唯「ほんとだよー私普通にお店で買った物なのかと思ったもん」
律「いやー、私が見つけた時はめちゃ汚かったんだよ。ここまで一生懸命磨いたんだぞ!」
澪「それで遅かったのか…ったく、くだらないことに精を出すなよ」
律「へへ、しかも磨いてるとき間違って指切っちゃった!ほれほれ」
澪「ひいいっ見せるなあああああ」ガクガクブルブル
梓「……もう、律先輩そうやって澪先輩怖がらせる冗談やめましょうよ」
律「しょうがないじゃんホントなんだもん」
梓「でも傷なんて無いですよ」
律「え」8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/18(火) 06:02:49.24 ID:r7UgrkkC0
驚いて手の平を返し、切ったはずの指先を見てみる。
梓の言う通り、そこには傷一つついていなかった。
律「あ、あれおかしいなー。だって…ほらこれ、切った時拭いたハンカチ」ゴソゴソ
唯「ひぃ、血だあ」
澪「見えない見えない見えない見えない見えない」ガクブル
梓「て、手の込んだことしますね?」
律「いやだからマジなんだって!なぁムギは信じてくれるだろ?」
紬「う、うーん…ほんの少?し、ちょろっと切っちゃってすぐ消えちゃった…とか?」
律「いやいやこのハンカチを見れば分かるだろ、結構ザクッと行っちゃって焦ったんだよホント」
唯「でもやっぱり指なんともないよー、ぷにぷにだよ」プニプニ10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/18(火) 06:04:47.50 ID:r7UgrkkC0
唯「ほら澪ちゃん何ともないよ、ぷにぷにー」
澪「ほ、ほんとか唯ぃ……グスッ…」チラ
律「血塗れのハンカチじゃあああ」ぐわっ
澪「ぎゃああああああああ!!!」バタリ
梓「……何してんですかっ…」
律「てへっ♪」
梓「てへじゃないですよ!これじゃ練習できないじゃないですか?!」ニャーニャー
唯「みおちゃ?ん、起きてよ?澪ちゃんのお菓子食べちゃうよ!」ユサユサ
紬「あらあら…」12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/18(火) 06:09:04.15 ID:r7UgrkkC0
唯「でもいいなー、かわいいなーこれ」
梓(かわいいっていうのかこれ…)
律「へっへーいいだろ唯、気に入ったんなら好きに見てていいぞ?w今だけなw」
唯「ありがとー」ヒョイ
唯「むむ、裏っかわ…同じ柄かー。おお、なんかいい手触り…」スリスリ
律「頑張って磨いたからな!」
唯「へへへそうだねー… あぃ゛っ!?」ポタタ
梓「せ、先輩血が!」
律「え!?き、切っちゃったのか!?」
唯「あぅうそうみたい…いたっ…」ポタポタ13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/18(火) 06:09:49.33 ID:r7UgrkkC0
紬「大変!…ちょっと待ってね、カバンの中にマキロンと絆創膏あったから」ゴソゴソ
唯「ぅうぅごめん…」チラッ「ん?」
唯「あ、あれ?血が… あっ」
梓「どうしたんですか!?」
唯「きず、なくなってる」
梓律紬「えっ?」
唯「ほら…」パッ
律「ほ、ほんとだ」15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/18(火) 06:11:02.41 ID:r7UgrkkC0
梓「…まさか今の演技とかじゃないですよね?唯先輩までそんな悪ふざけを」
唯「違うよー!だって血が出てたの皆見たでしょ?」
紬「確かに…」
梓「じゃあ律先輩の話してたこともあながち?じゃないってことですか…?」
律「だ、だからほんとに切ったって言ってるだろ!まだ疑ってたのかよ」
紬「二人ともこの矢じりで怪我したのよね… あら?」
紬「唯ちゃんが指切ったはずなのに、これどこにも血がついてないわね」
律「えっ」
梓「な、何かヤバい感じしないですか、それ」
唯「の、の、のろいのあいてむだ!」
律「馬鹿いうなって!ピラミッドのミイラの棺桶から見つかったとかじゃないんだぞ、
校庭にポンと落ちてただけだぞ!そんな妙なモンなわけあるか!」
唯「そうだけど…」18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/08/18(火) 06:12:23.31 ID:r7UgrkkC0
梓「い、いずれにしても気味が悪いです…」
律「ぅぐ……どうしようこれ…さ、触りたくなくなっちゃった…」
梓「かといってここにずっと転がしておくわけにもいきませんよ…」
紬「私が預かって何なのか調べてみようか?りっちゃん」
律「ほ、ほんとか?助かるよむぎ?」
梓「…自分で拾ってきた物なのに押し付けた…」
律「」
唯「とりあえず澪ちゃん起こして今日は練習終わりにしようよー」
梓「そうですね…」
律「ほら澪、起きろ」ユサユサ
澪「ん…んが…」ムクリ
律「じゃあムギ悪いけど、それ頼むわ…」
紬「ええ、分かったわ」
そう言うと紬は、ハンカチで丁寧に鏃を包み鞄にしまった。20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/18(火) 06:15:52.36 ID:r7UgrkkC0
・・・
唯「うーん…ぅうぅ…ぁう…ハァハァ」
憂「お、お、お姉ちゃん大丈夫!?全然熱がひかない…」
――その日の晩、唯は高熱にうなされていた。
時を同じくして同様の症状に見舞われる律―――
律「うぐぐ…ぅう……」
律(あ、熱い…頭の裏側が焼かれるみたいだ……なんだこれ…)
聡「姉ちゃんうーうーうるせーよ!今何時だと思ってんだよっ」ドンドン
律「ううー」23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/18(火) 06:17:37.25 ID:r7UgrkkC0
・・・
チュン…チュンチュン…
唯「……はぶぁっ!?」ガッバ
唯「あ。朝になっておる」
憂「スースー」Zzz
唯「ういずっとついててくれたんだ…ありがとね」チュッ
憂「ん…んん…おねひゃ… はっ!」
憂「お、お姉ちゃん!もう大丈夫なの!?」
唯「うん!全然へいき、それどころかすごーく爽やかな気分だよー!」
憂「よかったー!えへへ、すぐ朝ごはん作っちゃうよ?」
唯「ありがとうーいー♪…って、はゎ!?もうこんな時間だよっ!」
憂「えっ…ああ!遅刻しちゃうっ」
唯「す、す、すぐ着替えて出ないと?!」26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/18(火) 06:18:50.80 ID:r7UgrkkC0
・・・
唯「はっはっはっ…」タッタッタッ
憂「はぁはぁ…ングッ はぁはぁ…」タタタ
唯「い、いそいでいそいで憂?、信号赤になっちゃ」
憂「!! お姉ちゃんっ、前っ!!!!!」
唯「え?」
キキィイイーーーーーッ!!!!
憂「いやああああっっ!!!!」
唯「」28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/18(火) 06:19:38.60 ID:r7UgrkkC0
・・・
ガチャリ
先生「…どうした平沢、珍しいな。遅刻するなんて。早く着席しろ」
憂「は…はいすいません……」ギッ
梓「…どうしたの憂、ホント珍しいね遅刻なんて」
憂「あ…うん……」
憂(………お姉ちゃん…)
・・・29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/18(火) 06:21:28.10 ID:r7UgrkkC0
―放課後、音楽室―
澪「おーす」ガチャ
律「澪おっすッ!!!!」
澪「な、なんだテンション高いな…」
紬「澪ちゃん今日はシュークリームよ?」
澪「わぁ、おいしそうだなー …唯はまだか」
梓「ですね」
┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨
バンッ!!
唯「やっぽゥ!みんなーッ!!!」
ドッギャアァアア?ン!!30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/18(火) 06:23:24.41 ID:r7UgrkkC0
梓「こんにちは」
律「おぉっ唯!おーっす!!」
澪「な、なんだ唯までアホみたいなテンションだな」
紬「唯ちゃん今日はシュークリームよ?」
唯「うわーぃしゅーくれーむ!大好きだよー」ギッ
唯「でもしゅーあいすだともっと大好き!ムムム…」
唯「ほぁった!」
ビッシィァ!
律「!?」31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/18(火) 06:24:36.55 ID:r7UgrkkC0
澪「何してんだ唯」
唯「ふふふ…しゅーあいす…」モグモグ
梓「シュークリームですよ」
唯「うまい!」
律(い、今の何だ?チラっと変な腕が出て来て…シュークリームを小突いた…確かに見たぞ…)
唯「んふふふおいひー」モグモグ
律「……」ジーッ…
唯「…ほぁ?どしたのりっちゃん、そんなに見つめられたら照れちゃうよ//」
律「……い、いや……」ジィイイ
唯「……! も、もしかしてりっちゃん…"見えた"?」
律「!!」
澪「えっ!?わ、私のパンツ見えてたか!?」バッ
律「いやそんな話はしてない」34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/18(火) 06:27:21.25 ID:r7UgrkkC0
唯「りっちゃん、どうなの?」
律「え、いや…み、見えてないよ何も…今は…」
唯「……ほっ!」
ズキュン
律「うわっ!?」ガタタッ
澪「な、なんだ律いきなり暴れるなよ…カップ倒れたらどうするんだ」
梓「唯先輩が奇声上げて驚かせるからですよ、やめてください」
律「お、お、お前らっ、これ…これ…!」ガクガク
唯「りっちゃん、やっぱり…!」
┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨
唯の隣にはどこから現れたのか、人が立っていた。
正確には人型をしている何かであり、人であるかどうかは分からないが…
とにかくこの空間にそぐわない異質な何者かが、そこに立っていた。35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/18(火) 06:28:26.90 ID:r7UgrkkC0
律(な、なんだこいつらの反応っ…見えてるのは私だけなのか…!?)
唯「りっちゃん…!」ズイッ
律「わ わ わ 寄るな唯っ!」
唯「違うんだりっちゃん、聞いてよ!…と、とりあえずクリ太は帰って」
シュンッ
律「あ…(消えた!?)」
梓「…澪先輩。唯先輩達さっきから何してるんですか」ヒソヒソ
澪「わ、わからん…どっかおかしくなってしまったのか… 唯はともかく律まで…」ヒソヒソ
紬「まぁまぁまぁまぁ」
律「…と、とりあえず唯ちょっと外で話そうぜ!」
唯「う、うん」
ガチャ バタン36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/18(火) 06:29:37.14 ID:r7UgrkkC0
律「……で。な、何なんだよそれ…」
唯「これ?」
ズキュウン!
律「うわっ!だからいきなり出すなっ!」
唯「んー…私にもよくわかんないよー…今朝登校途中に初めて会ったんだもん、この子には」
律「今朝?」
唯「うん。私大変だったんだよー!急にトラックが…あ、いやいやその前に昨日の夜かぁ」
律「昨日の…夜?」
唯「そうなんだよぉ、急にすっごい熱が出ちゃって…憂がお姉ちゃん死んじゃうよーって泣き出しちゃうぐらい」
律「な、何!?ほんとかそれ!!」ガシッ
唯「ぁう、りっちゃん痛いって」
律「あっ悪い…で、でもさ、私もなんだ」
唯「え、何が?」
律「私も昨日の夜、急に高熱出しちゃって…」
唯「りっちゃんも!?」37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/18(火) 06:31:10.86 ID:r7UgrkkC0
律「あぁ。まるで頭ン中焼かれてるみたいなさ… …でも、朝起きてみたら」
唯「ひいてたんだね?」
律「そうなんだ。んでなんていうかそれだけじゃなくて、こう…」
唯「まるで新しいパンツをはいたばかりの正月元旦の朝のような?」
律「そう!スゲーッ爽やかな気分だったぜ!!」
唯「凄い!まったくおんなじだよっ! …じゃ、じゃありっちゃんにも何かこの子みたいなのが居るんじゃ!?」
唯「そうだよ、そうなんだよ!だから見えるんだ!!」
律「そ、そうなのかな…唯はどうやったら出てきたんだ?それ」
唯「それ、じゃないよー。ちゃんと名前あるよ!コールド・ストーン・クリーマリーっていうんだって」
律「え、喋れるのか?それ…」39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/18(火) 06:33:06.95 ID:r7UgrkkC0
唯「たまにね。それでね、えっと…私の場合はねぇ…そうそう、さっきちょっと言いかけたけど」
唯「私今朝も大変なことがあってさー。起きたらもう遅刻確定って感じの時間でね、
すっごく慌てて通学路走ってたの!そしたら横断歩道のところでトラックに突っ込まれちゃって…」
律「えぇ!?」
唯「いやだ、まだ死にたくないよ!…って思って、気が付いたらね」
律「う、うん…」ゴクリ
唯「なんかトラックがなくなってて、かわりにそこらじゅうにアイスが飛び散ってたんだ!」
律「は?」
唯「それで夢中になってアイスを食べてたんだけど!」
律「おいおい、落ちてたアイス食ったのかよ」
唯「ふと気が付いたらこの子が隣に立ってたんだ!!」フンッ!
律「な、なるほど…」
41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/18(火) 06:34:28.06 ID:r7UgrkkC0
律「でも私事故には遭いたくないぞ…もし何も出なかったらどうするんだよ」
唯「うーん…それもそうだよねー…」
律「強く念じてみればいいのかなぁ」ムムム…
律「……ど、どう?」
唯「やー、何も…」
唯「……あ、あのさりっちゃん、考えたんだけどね」
律「何?」42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/18(火) 06:36:00.47 ID:r7UgrkkC0
唯「私のこの子…クリ太なんだけどね」
律「クリ太て。おいしんぼかよ。せめてコー太にしようぜ」
唯「じゃあそれでいいや。コー太なんだけどね、力を使ってものを殴るとアイスにしちゃうみたいなんだ」
律「あ、さっきシュークリームにやってたな」
唯「うん。でね、それを今からりっちゃんにやってみようと思うんだ」
律「は!? お、おい何言ってんだ唯ッ、待てよそんなことされたら私どうなっ」
唯「いくよっ!」ズギャン!
律「うわーーーっ!!」
ガシィイン!!
律「……!?」45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/08/18(火) 06:38:04.14 ID:r7UgrkkC0
―何も起きない?
きつく閉じた目を恐る恐る開ける律。
眼前に迫るコー太の拳。
その拳を、唯のものとは違う何かが腕にしがみついて止めていた。
唯「で、出た… 見てりっちゃん!出たよ!!」
律「あッ!! こ、これが!?」
唯「そう!りっちゃんのだ!!うわーちっちゃい、かわいー☆」
唯のものと比べるとより奇妙な存在である。
人型というよりは大きめの両生類のようである。
律「な、なんじゃこりゃ…」
と、攻撃された反射行動であろうか、
それはしがみついていた腕から離れると不意をついて唯を攻撃した!
ビシィッ!
唯「」46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/08/18(火) 06:39:18.16 ID:r7UgrkkC0
律「あっ!? こ、こらっ、何すんだ!おい唯っ!?大丈夫かっ!!」
唯「ぁ…ぁう…」
律「唯!?」
唯「あ、あれ。痛くないよ」
律「え?」
唯「ちっちゃいから力がなかったのかなぁ…助かったよおお」
律「…で、でもさ唯、ただ殴るだけってのも変だろ。
お前のクリーマリー…だっけ?触れた物をアイスに出来るんだろ?」
唯「そっか、そうだよねえ…でも私なんとも…あ、あれ?」ジーッ
律「?どした唯」
唯「りっちゃんのおでこに…何か…」ジイイ48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/08/18(火) 06:40:21.48 ID:r7UgrkkC0
デコ『イタク ナイ!ナントモナイゾ!』
唯「……も、文字?文字が浮かんでるよー」
律「は?え、ちょっ鏡かがみ」ゴソゴソ
律「んん… …あ、マジだ。なんだこれ…」
律「…あ、あれ?形が」
グググ…
デコ『モジダ!モジガウカンデルヨー!』
律「書いてある事が変わったぞ。ん?また…」
デコ『イッタイ ナンダロー?』
唯「一体なんだろう? …え!?」
律「もしかしてこれ…唯が思ってる事か?」
デコ『ソウカモ』
唯(そうかも)
唯「!そ、そうみたい…うわーなんか恥ずかしいや…」
スーッ
50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/08/18(火) 06:41:09.43 ID:r7UgrkkC0
唯「消えた!」
律「ほんとだ。効果時間…とか?」
唯「かも!うわーでも凄いや、りっちゃんも出せた!」
律「なんかしょぼいけど…すごいな!ははっ、こいつは名前なんてーのかなー、はよ喋れ!」
唯「デコーズ!デコーズだよ、きっと!」
律「……で、でこーず…」
唯「わいずめる!」
律「いやそれはちょっと違うかな」51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/08/18(火) 06:48:00.18 ID:r7UgrkkC0
・・・
ガチャ
澪「戻ってきたか」
梓「何話してたんですか二人で…」
紬「お茶冷めちゃったから淹れ直すわね」
唯「ごめんごめん」
律「へっへーん、澪ぉ?」
澪「な、なんだよ…」
律「てりゃっ!」ズキュン
ビッシャア!
唯「あっ、りっちゃん!?」
律「私の事好っきか?っ?w」
澪「は…はぁ!?なんだ急に…どうでもいいだろ!普通だ普通!!」
律「ふーん……」スチャ
律「ふむふむ…『ダイスキダ、リツゥ//』とな…」ボソボソ53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/08/18(火) 06:51:39.73 ID:r7UgrkkC0
梓「…な、何してるんですかね律先輩、手鏡で自分の顔見つめて」ヒソヒソ
澪「わ、わからん…やっぱりどっかおかしくなったのかも…」ヒソヒソ
律「ん」
律「おい私はどこもおかしくなってないから」
梓「!?」
澪「えっ、き、聞こえてたのか!?」
律「え(やべっ) あ、ああそうだよーんりっちゃん地獄耳!」
唯「りっちゃん気をつけようよ…」
律「わ、悪い悪い…面白くってつい…」
律(ほんとおもしれーっ!これ!
唯は思ったことそのまま口にするタイプだからあれだけど…)54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/08/18(火) 06:58:08.86 ID:r7UgrkkC0
唯「でもなんでだろーね?」
律「そうだなぁ…私らだけ急に」
澪「何の話?」
律「いやいやなんでも。こっちの話」
澪「そ、そうか」シュン
律(おっ)チラッ
デコ『リツ…ユイとナイショバナシかよ…サミシイ』
律(プププw澪かわいーw …てか平仮名も出るんだな)
スーッ
律(あ。終わった)56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/08/18(火) 07:01:40.23 ID:r7UgrkkC0
唯「うーん…思い当たることって言えば、二人とも高熱を出したってことだよねぇ」
律「そうだなー…… …ん!?ちょ、ちょっと待て唯。他にも共通点あったぞ!」
唯「え? …んんん」
律「ほ、ほら!これこれ!」プニプニ
唯「…あ!そういえばそうだよ?!確かあれは…」
律「む、ムギ、昨日のアレどうした?」
紬「え? …あ、あぁりっちゃんの拾った?」
律「そうあれ!何だったか調べたのか?」
紬「ごめんね、昨日は帰ってから色々用事があったから結局調べてないわ…
今日調べてみようと思うんだけど、だめ?」
律「そ、そっかー。いやいいんだけど…」
58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/08/18(火) 07:15:16.92 ID:r7UgrkkC0
唯「どうするのりっちゃん?絶対あれだよ」
律「そうだけど…うーん…」
律「じゃあさ、とりあえず軽く調べてみてさ、分からないようなら返してよ」
紬「そう?じゃあ今日は調べられると思うから明日持ってくるわね」
澪「なになに?何を?」
律「昨日の矢じり」
澪「あぁ」
律「澪話題に入れなくて寂しかったんだろ?w」
澪「は!?うるさいぞ律っ!」ガン
律「いで」
梓「もー、とりあえず練習しましょうよ」
律「そうだなー」
唯「えー、じゃあもいっこシューアイス食べてから…」ズキュン
梓「だからシュークリームですよそれは」
60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/08/18(火) 07:40:31.22 ID:r7UgrkkC0
・・・
唯「うーぃい?、あいしゅうぅ?…」
憂「もー。ごはん食べてから!」ジュー
唯「ぅう… …あ、そっか!てぃ!」ズキュン!
唯「ほぁったぁ!」ビッシィア
唯「自分で作れるんだったよ? うまうま」モグモグ
唯「……あれ、ところで私何アイスにしたんだろ…よく見てなかった…」モグモグ
唯「まぁいっか。うまい!」モグモグ
憂「お姉ちゃんご飯できたよー」
唯「わーい」
憂「…あれ?お姉ちゃんここに私の携帯無かった?」
唯「しらなーい」71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/08/18(火) 08:57:21.70 ID:r7UgrkkC0
テレビ「ノーパンしゃぶしゃぶ!」
聡「うははっ、おもれー ゲラゲラ」
律(……しっかしホント面白いもん手に入れたよな?)
律「ほっ」ビッシィ!
聡「はははは!…プククッ」
律(……どれ)サッ
デコ『あ?、ネェちゃんのパンツどうやってトろうかな?』
律「っ!?」
律(このヤロ…澄ました顔して何つーことを…!)73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/08/18(火) 08:58:42.72 ID:r7UgrkkC0
律(……)ジーッ…
デコ『スズ木、ねぇチャンのぱんつと交かんでどんなエロビデくれんノかなー』
律(……ロクな友達いねーなこいつ…っていうか漢字が混じってる)
律(慣れ?)
デコ『いつヤロうかな、やッパ風呂んトキがいいよナぁ』
聡「ははは、ごっつおもれー」
律「…あ?っ、私お風呂入ってこよっかなー」
聡「」ピクッ
律(うはwバーカw)74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/08/18(火) 08:59:35.17 ID:r7UgrkkC0
・・・
―放課後―
唯「おーっすムギちゃん今日のおやつ何?」
紬「ふふ、今日はね?…フルーツタルト♪」
律「うまそー!」
唯「これはこのままでいいやー」
律「あ、唯。ちょっとちょっと」ビシィ
唯「え?あっ! り、りっちゃんやめてよもー…」
律「いいからいいから。あれから練習して精度上がったんだ!見てみ?」
唯「んん?」75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/08/18(火) 09:00:20.52 ID:r7UgrkkC0
デコ『タルトおいしそー♪』
唯「うん?」
デコ『ひらがながはいってる』
律「平仮名だけじゃないぞ!漢字も出るようになったんだ」
唯「んんん?」
デコ『でてるかなあ…でてないよねえ』
律「な、名前とか思い浮かべてみろよ」
デコ『ひらさわゆい』
律「…やっぱいいわ」
唯「信じるよ!りっちゃん!」
律「どうも…」
紬「………」76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/08/18(火) 09:06:01.79 ID:r7UgrkkC0
唯「それにしてもこれおいひいね?!」モグモグ
紬「そう言ってもらえると嬉しいわ♪」
梓「至福のひととき…練習するよりずっと有意義ですねぇ?」モグモグ
律「ん?梓今なんて?」
澪「ホントおいしい!なぁ律ぅ?ん♪いつまでもデコ見てないで律も食べろよぉう♪」モグモグ
律「あ、あぁ(なんだ?きもちわりー声出しやがって)」
紬「さ、りっちゃんもどうぞ♪」
律「それじゃいっただっきまーす」モグモグ
律「…ホントうまいなぁ?♪み?おっ☆」デレデレ
唯「あずにゃんあ?ん♪」
梓「ふふふ、ゆいせんぱぁい♪あ???ん//」
紬(……)79 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/08/18(火) 09:19:08.03 ID:r7UgrkkC0
―――――
―昨晩、琴吹家―
紬「ふぅ…調べるとは言ったものの、手がかりが無さ過ぎるよね、これ…」
紬「とりあえず古代文明の遺物図鑑でも見てみようかしら。エジプトあたりでいいかな」ペラペラ
紬「……流石にないわよね…ププ、だって校庭に落ちてたんだもの…」
紬「ん?っ 疲れたぁ…分からなかったって事でこれはりっちゃんに返そう…
とりあえずこの本戻してこよう…」ゴソゴソ
バササ
紬「あら?何か落ちたわ。紙束…?」
『"弓"と"矢"に関するレポートメモ』
紬「依頼主、SPW財団…何かしら」
紬「……」
紬「…!!こ、これは…」81 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/08/18(火) 09:23:11.12 ID:r7UgrkkC0
―――――
紬(…私の手に入れた「リリー・マルレーン」…)
律「み?おっ☆ほっぺについてるぞ♪」ペロッ
澪「ひゃんっ!?り、りつぅ//やったなぁ?このぉ//」テレテレ
唯「あーずにゃあああんこのタルトあずにゃんの味がするぅ♪」
梓「そ、そんなこと言われると私が唯先輩に食べられてるみたいで…嬉しい//」
紬「うふふ、皆とってもなかよしさんなのね♪」
一同「うん!むぎちゃんもだ?い好きだよっ☆」
紬(これが…その能力っ…!!)ジュンッ82 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/18(火) 09:29:08.37 ID:r7UgrkkC0
紬(でも唯ちゃんとりっちゃん、既に力が発現している二人に見られずに
お菓子にリリーを"仕込む"のは結構ヒヤヒヤしたわね…)
紬(二人の能力は一体なんだろう?さっきりっちゃんのオデコには
文字みたいなのが浮かんでたようだけれど……)
紬「まぁ、そのうち分かるかな。今はこの状況を楽しみましょう♪」
唯「りっちゃんあ?ん♪」
律「あ???ん♪」パクッ
紬(はぁああぁああぁああんっ!!//)
紬(まさに最高の愉悦っ…!!至福の時っ…!!)ポタタ84 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/08/18(火) 09:37:28.40 ID:r7UgrkkC0
唯「ふわぁーごちそうさまー」ゲプッ
律「ふー食った食った」
澪「オッサンかよ」
律「うるせ!」
梓「はっ!な、何くつろいでるんですか練習しますよ!」
紬(食べてる間しか効かないのは仕方ないか…)
律「あ、そういえばムギ、あれ調べてくれた?」
紬「え!?え、ええ…えっと」
紬(どうしよう。言うべきか言わざるべきか…難しい選択ね…
言うとしたら私が何らかの力を手に入れたと思われるかも…)
紬「えーーーっとねぇ…」コトッ87 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/08/18(火) 09:41:03.95 ID:r7UgrkkC0
澪「ん?なんだまたその矢じりの話か…懲りないなー…また手切っても知らないぞ」
律「だ、だって気になるだろ?その…ほら…こんなに綺麗なんだし」
唯「そうそう!気になるよ?」
梓「もう、散々お菓子食べといて今度はそれですか!時間なくなっちゃいます、練習しましょう!」
唯「あずにゃんそんなこと言わないで?、ちょっとだけ!」
梓「だめです!練習が終わるまでこれ没収しますから!」ガッ
紬「あっ!」
律「ちょ、梓っ!気をつけろって!とりあえず返せ!」グイッ
梓「な、なんですかダメですよ練習してからですっ」
サクッ
梓「い゛っ!!」
唯律紬「!!!!」94 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/08/18(火) 10:01:46.13 ID:r7UgrkkC0
梓「ぁうう…」ポタタ
澪「梓っ、血が…!ぎゅう」バタリ
律「うわわわどうしよう」
紬「あ、梓ちゃんまでっ…」
唯「あ、あずにゃ… って、え?『まで』?」
紬「はっ!しまっ」
律「む、ムギもしかして…この矢じりで手切ったのか?」
紬「ぁうっ」
律「ま、まじかよムギも…これで澪以外は全員…」
唯「こうなったら軽音部全員超能力者集団にしちゃおうよ!
澪ちゃんは気絶してるし今なら怖がられないし!!」スッ
律「!? お、おい待て唯っ…!」
律(わ、私の能力は周りが能力者しかいなくなったらバレバレユカイじゃねーか!)
唯「えっ?もうやっちゃった」
律「」
96 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/08/18(火) 10:09:37.01 ID:r7UgrkkC0
律「もおおおお」
唯「ご、ごめん…悪かったかな…?」
紬「梓ちゃん、手…」
梓「あ…傷なくなってます…」
紬「……」
律「……こ、これもうあれか?出てるのか?」
唯「わかんないよ…とりあえず何も見えないね。ムギちゃん昨日の夜熱出た?」
紬「う、うん」
唯「やっぱり熱出てからだよ」
梓「何の話ですか?ムギ先輩風邪ひいたんですか?」
唯「違うよー、でもあずにゃんは今夜ひくよ!」
梓「え」
律「き、気にすんなよ!とりあえず今日は終わりにしようぜ。ほら澪起きろ」
澪「う、ぅう……」98 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/08/18(火) 10:19:53.54 ID:r7UgrkkC0
唯「これどうしよう」
律「あ、そっか… …む、ムギ持っててよ」
紬「え…」
律「い、いやー家に置いといて万が一にも弟に触られたりしたら嫌だしなーって…」
紬「そう?じゃあこれは私が処理しておくね」
律「よろしく」
・・・
唯「ただいまー」
憂「おかえりお姉ちゃん」
唯「ふぁー今日は疲れたなぁ」
憂「えへへ、アイスいる?」
唯「う、うーん今はいいや…」
唯(帰りに色んなものアイスにして食べながら帰ったから…)ゲプッ99 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/08/18(火) 10:23:59.99 ID:r7UgrkkC0
憂「そういえば最近なーんか家の物が減ってるような気がしない?」
唯「え!?し、しないよ?気のせいじゃないかな?」
憂「そうかなぁ…」
唯(も、もう家の中の物食べるのやめとこう…)
唯(気が付いたら目覚ましもアイスにしちゃってたし…うぅ、これじゃヤクチューだよお)106 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/08/18(火) 11:40:00.02 ID:r7UgrkkC0
・・・
唯「おはよー」
律「おはよう」
紬「おはよう唯ちゃん」
律(……)
律「なぁ唯」
唯「なーにりっちゃん?」
律「…ムギの能力って何か知ってるか?」
唯「知らないよー、気になるけど…」
律「だよなぁ…」
唯「ねームギちゃん、ムギちゃんの力ってどんなの?」
律「ばっ!」
紬「えっ!?え、えっと…その… ひ、秘密//(ヘンタイだと思われちゃうかも…)」
唯「あぅ」
紬「……えへへへへへ^^;」107 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/08/18(火) 11:40:50.45 ID:r7UgrkkC0
・・・
澪「……」ソワソワ
和「澪、どうしたの?そわそわして」
澪「…あ、和。うん…なんかこう、今朝起きてから変なんだ…常か周りにいるような…」
和「……何もいないけど?」
澪「だ、だよね…うぅ、なんなんだろう……」108 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/08/18(火) 11:44:30.09 ID:r7UgrkkC0
―休み時間―
律「うぅ?気になる…」
唯「そんなに気になるならさー、デコーズ使って聞けば簡単じゃない?」
律「……そんなの分かってるよ…でもムギはもう文字見えるんだぞ。使ったらバレバレだよ」
唯「りっちゃんが離れればいいじゃん。ムギちゃんから見えないとこに隠れてさ」
律「おいおいそんなこと… で、出来るのか?」
唯「知らないよー、試してみれば?今ならムギちゃんトイレでいないし丁度いいよ」
律「んー…」ビョンッ
フワフワ…
唯「やっぱりかわいいねデコーズ♪」
律「いや、かわいくはないと思う…とりあえず…ほっ!」
シャーッ
唯「おおーどんどん遠くに行っちゃうよー」109 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/08/18(火) 11:45:52.82 ID:r7UgrkkC0
律「……んっ。あれ、これ以上は進まないな」
唯「でも結構遠いよ。私はどうかなっ?」ギャンッ
唯「行っけー!コーt」ピタッ 「ってぁ、もう進まないよー5mぐらいだよ…」
唯「こうしてみるとまだ分からないこと多いね。もっと色々試してみよう」
律「うーん…遠くまで行けるのは分かったけど効果があるのかどうかは分からないよなー」
唯「使ってみれば?丁度デコーズのあたりに憂がいるよ」
律「いいのか?憂ちゃんにやって」
唯「いいよいいよ別に怪我するわけじゃないし?」111 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/08/18(火) 11:48:22.94 ID:r7UgrkkC0
律「んじゃあ… ほいっ!」
律「……どうだ?デコに出てるか?」
デコ『お 姉 ち ゃ ん』
唯「でてる」
律「おぉー!使えるんだ!へへーこの点だけは唯に勝ったな?w」
唯「むむ…りっちゃん調子ノリスケだよ!いいもんね私はアイス食べられるもんね!」
律「よーし、じゃあ部活の時にでも仕掛けてみるかな…唯そん時は手伝ってよ」
唯「いいよー私もムギちゃんのどんなのか知りたいもん」
紬「ふぅ」
唯「あっ、ムギちゃんおかえりー」
律(うぅ…早く使いてー)ムズムズ126 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/08/18(火) 14:02:18.91 ID:r7UgrkkC0
仕事してる念…
・・・
唯「おいっす!」ガチャ
紬「あら唯ちゃん、今日はマドレーヌよ♪」
紬(見えないようにリリーをマドレーヌに潜らせて…)コソコソ
唯「うわーい、やったー!」
澪「……」ソワソワ
梓「澪先輩どうかしました?」
澪「い、いや…」
澪「……お、おい唯ドアちゃんと締めろよ…(ただでさえ誰かに見られてる感じがするのに…)」
唯「えーっ、暑いから開けてたいよー。だめ?」
律(だめだ唯締めさせるなよ……ムギが見えなくなる)128 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/08/18(火) 14:04:25.34 ID:r7UgrkkC0
澪「そうかー?まぁいいけど…」
紬「ところでりっちゃんはまだなの?」
唯「あ、りっちゃんちょっと遅れてくるって。掃除当番なんだって」
紬「そ、そう…(律澪がメインディッシュだし待とうかしら…あぁ早く食べさせたい)」
唯「ムギちゃんこのマドレーヌどこのやつなの?」
紬「え?これはね…」
律(よ、よしいいぞ唯…ムギの注意を引いとけよ?っ… …デコーズ!)シュッ
律(行けっ!!)ビュンッ
唯(あ、デコーズだ)
律(真後ろバッチリ!よーしデコーズ、ムギに触れ…)
澪「ひいいやあああああーーーーっ!!??」ガッターン!
律唯「!?」132 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/08/18(火) 14:09:24.03 ID:r7UgrkkC0
紬「な、なに!?」
梓「ムギ先輩…後ろに何かいますよ…」
律唯「!!」
紬「え… !こ、これは!?」
律「あっ、そうか!! (ムギのことばっか考えててすっかり忘れてた、二人とも…)」
紬「り、りっちゃん?そこにいるの?」
律(やべ、つい声が…)
律「……うぅ…」スッ
澪「り、り、律っ、ここここれ見てくれっ、何か変なものが…あわあわ」
律「…あーごめん…そ、それ私が出したんだよ…」
澪「え」
紬「りっちゃん…こ、こんなの向けて私に何するつもりだったの!?」
律「う…」
唯「…ムギちゃんりっちゃん責めないで…私も悪いんだ…」
紬「どういうこと?」133 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/08/18(火) 14:11:12.19 ID:r7UgrkkC0
唯「あのね、ムギちゃんの力はどんなのかなって気になったから…二人で探ってみようって…」
紬「私のっ…?そ、それは秘密だって…//」
唯「うん、だからね…無理矢理見ちゃおうって…」
紬「無理矢理…って、そんなことできるの…?」
律「私のこれ…デコーズっていうんだけどさ、触られた人の思ってる事が分かるんだよ」
紬「そ、そうなの…?」
唯「りっちゃん、私に使ってよ」
律「あぁ…そらっ」ビシィ
紬「……?」134 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/08/18(火) 14:13:30.11 ID:r7UgrkkC0
澪「なんだ…今何かしたのか?」
唯「…あ。えっとね、りっちゃんのおでこ見てみてよ」
澪「律のデコ?」チラッ
梓「あ。何か文字が」
デコ『むぎちゃんごめんね』
律「へへ…こんな風にその人の思ってる事が私のデコに浮き上がるんだよ」
澪「へ、変なの」
紬「そんな能力が…」
唯「ちなみに私はこれ!」ギュンッ
唯「ほわっちゃ!」ビッシィ! ピキキ
澪「あ、マドレーヌが…これは…アイス!?」
唯「そうなんだ?モグモグ」
梓「唯先輩にはお似合いですね」
唯「えへへへへ」ポリポリ
唯「……それでムギちゃんのは?」135 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/08/18(火) 14:16:08.11 ID:r7UgrkkC0
紬「へ?」
唯「どんなのなの?私達教えたし、教えてくれないかな?…なんて…」
紬「う」
「メッシャアアー!」
澪「ん?今何か… …うわっ!な、なにこれ虫!?お菓子に虫がたかってるぞ!!」
紬「ち、違うの…それが私の力…それが取りついたお菓子を食べた人同士が…その…」
唯「…ど、どうなるの…?」
澪「……」ゴキュリ
紬「…と、とっても仲良しになるっていう……」
唯律澪「」
唯律澪「な、なんてあったけえ能力なんだ…!!」
紬(……ほ、ホントは食べたら女の子が大好きになる女の子限定の力なんだけど、
大体合ってるからいいよね…)136 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/08/18(火) 14:17:21.03 ID:r7UgrkkC0
梓「……それで、澪先輩は?」
澪「は?」
梓「澪先輩はこういうのないんですか?」
澪「無いよ。ある方がおかしいだろ、普通」
律「いや、見えてるならあるはずなんだ」
澪「えっ、そうなのか?で、でも出せないぞそんなの」
唯「うーん…何か出すきっかけが無いと初めての時は出ないみたい」
澪「きっかけ…」
唯「私の時は交通事故だったよ!」
澪「ひっ!!む、無理無理!!」139 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/08/18(火) 14:19:39.66 ID:r7UgrkkC0
律「まぁそのうち出せるようになるだろ。梓はどうなんだ?出せるのか?」
梓「私の事はどうぞお構いなく」
律「なんだよ隠すなよー、先輩命令だぞ!なんちて」
唯「教えてよあずにゃーん」
梓「まぁとりあえずまだ分かっていない澪先輩は置いておくとして、
先輩方のしょーもない能力とは違うとだけ言っておきます」
律「な、なんだその言い草っ…」
唯「ムギちゃんの能力はしょーもなくないよ!謝ってよあずにゃん!」
梓「ふん。拒否しますです。こんなのが仕込まれたマドレーヌなんていりません」ポイ
紬「!!」140 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/08/18(火) 14:21:04.17 ID:r7UgrkkC0
律「おい!感じ悪いぞ梓!」ゴゴゴ…
梓「はぁ。やるつもりですか?馬鹿なんですか?
私がでかい態度取ってるのは先輩方には負けない自信あるからです」
唯「な、何言ってるのあずにゃん…負けないとかなんとか…」
梓「力がですよ。いざとなったら力で全員ねじふせられるって言ってるんです」
澪「お、おいおい…」
唯「あずにゃんどうしちゃったの?な、何か嫌なことあった?これで機嫌なおして…」抱きっ
梓「やめてください」
唯「!」
梓「抱きつかれるなら澪先輩がいい。唯先輩はいい加減うざいので離してもらえますか?」150 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/08/18(火) 14:40:25.12 ID:r7UgrkkC0
唯「あずにゃん調子乗りすぎ!アイスになっちゃえ!」
梓「えっ」
唯「ほわっちゃあッ!!」ドビッシャア
梓「」ピキーン
律「うわー、本当にアイスになっちゃったよ」
澪「人としては小さかったけどアイスとしてだとでかいな」
紬「じゃあ今日のおやつは梓ちゃんアイス?」
唯「まっさかーwゴキブリアイスなんて食べるわけないよぉ?w」
律澪紬「DAYONE!!」190 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/08/18(火) 20:39:19.97 ID:r7UgrkkC0
唯「そんな…あずにゃ」
梓「聞こえませんでした?それじゃ実力行使です」ザワ
ギュチィッ!
唯「ぐぇ!」
律「なんだ!?髪!?」
梓「ふふふ…」ギチギチ
唯「あ゛…あ゛ずに゛ゃ……ぐるじ…」192 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/08/18(火) 20:44:47.09 ID:r7UgrkkC0
律「唯っ!」
梓「……私今朝、登校途中に猫に合ったんです」
澪「ね、猫…?それより唯を…」
梓「撫でてあげようかなって近付いたら、その猫いきなり私の事威嚇してきたんですよ」
律「それが何だよ!いいから唯離せよ!!」
梓「びっくりしました。それで次の瞬間には何が起きてたと思います?」
紬「……まさか…」
梓「私の髪が猫を絞め殺しちゃってたんですよ。丁度今みたいな感じで。プフフ」
律澪紬「!!」
唯「ぁが…ぁぐ……」
梓「すごい力なんですよ、これ!素晴らしいですよ!!」195 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/08/18(火) 20:48:08.84 ID:r7UgrkkC0
唯「う…ぅ…ぅんたぁっ!」ボッ
パァンッ!
梓「!?」
パラパラ…
梓「髪がアイスに…まだそんな力残ってたんですか。唯先輩のくせに」
唯「はぁっ…ゲホッ!はぁはぁ…」
律「大丈夫か唯っ!」
梓「ふん」シュルシュル
紬「も、もう伸びて元通りに…」197 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/08/18(火) 20:50:05.91 ID:r7UgrkkC0
澪「梓!よくも…」
唯「ゴホ…い、いいよ澪ちゃん、これぐらい大丈夫だよ……」
梓「そうですか。じゃあもっと痛めつけてあげますよ」シャッ
そう言うなり唯に向かって追撃の髪薙ぎを振るう
紬「! 梓ちゃんやめてっ!!」ギュン
梓「邪魔だよっ!」
バシンッ! ドガシャ
紬「ぅぐっ」
澪「む、ムギっ!」
梓「…何してんですかムギ先輩。こんな虫飛ばしてどうするつもりだったんですか?」ブジュッ
ムギを払うと同時に髪で捕らえた数匹のリリーを絞め潰す
紬「あっ…」
梓「先輩の力はこの状況じゃ何も出来ませんね。ムギ先輩は普通の人と同じですよ」199 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/08/18(火) 20:52:01.69 ID:r7UgrkkC0
澪「梓っ……」グッ
梓「澪先輩も静かにしててもらえます?力出せないんじゃあ何もできませんよ。
それに澪先輩は出来れば傷付けずに私のモノにしたいですから」
澪「うぐ…」
梓「さぁて唯先輩。続き、しま――」
ビシィッ!
梓「!?」200 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/08/18(火) 20:52:42.16 ID:r7UgrkkC0
律「……梓ぁっ!!」
梓「…なんのつもりですか…こんなカスみたいなののパンチ、何のダメージも無いですね」
律「く、くそっ…!思いっきり殴らせたつもりだったのに… …でも」
梓「先にやられたいならそう言えばいいんですよ!律先輩っ!!」ザワッ
律「唯!」
唯「…!りっちゃん右から!!しゃがんで!」
律「よ、よし!」
梓「っ!?」ブオンッ
スカッ
律「唯ナイス!」
唯「やった!」
梓「……」
デコ『右から左に薙ぎ払う』
梓「……無駄な努力してんじゃあないですよ…」ゴゴ…203 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/08/18(火) 20:56:26.81 ID:r7UgrkkC0
唯「今度はこっちだよ、うんたっ!!」ボッ
梓「! このっ…!」ドシュルル
唯「うわっ!?コー太の腕がっ…」
律「梓の髪の方が速いっ…!」
唯「は、離してっ」
律「デコーズ!!」ギュンッ
梓「ふん」ザワッ
律「あ、梓の思考はっ」
だが律が手鏡を取り出す間も与えず、デコーズが梓の髪に殴り飛ばされる
律「ぁぐっ!」
梓「遅いんですよ。ちょっと本気になれば私の思考がデコに出ようが出まいが関係ないですね」
律「くっそ……!」
唯「このっ!」ブチィッ
梓「…唯先輩のはパワーありますね…ちょっと厄介だ。先に潰しときましょう」ギュルル
律「唯危ない!」208 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/08/18(火) 21:00:37.49 ID:r7UgrkkC0
唯「ほわっちゃ!」ズビシャ!
バァンッ!
梓「あっ!?」
梓(机をアイスの霧に変えて目くらまし…?)
梓「よくもまぁ無駄なことばかり考えつきますねっ…!」
唯「皆こっちきて!」
梓「大体の位置は分かるんだっ、髪を増やして全部絡め取ってやる!!」ブワァッ
唯「うんたんっ!」ズバシャッ
律澪「うわっ!?」
紬「きゃあっ!」
梓「……手応えが無い…」
サァア…
梓「…!床に穴が…アイスに変えて抜いたのか……でも、逃がしませんよ…」
唯「み、皆走って! はぁっ、はぁっ…」タタタ210 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/08/18(火) 21:09:59.93 ID:r7UgrkkC0
・・・
律「はぁっ…はぁっ…と、とりあえず撒けたか?」
紬「分からないわ…見えないけど…」
澪「ど、どうするんだよこれから…」
律「話し合うにもあれじゃあな、とりあえず梓を無力化しないと無理だ」
唯「でもこのままじゃどうしようもないよ、まともにやったらコー太も近付く前に捕まっちゃう」
律「さっきの霧は?あれで頑張れば近付けないか」
唯「わ、わかんない…さっきは夢中だったから、あんな細かい調整毎回出来るか自信ない…」
律「そうか…せめて澪が力出せればな…」
澪「ご、ごめん」
紬「謝ることないわよ澪ちゃん…こ、こんなことになるなんて誰も思わなかったもの」
唯「うぅ…私達楽しく部活してただけのはずなのに…」
律(ホントだよ。いやマジで)
216 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/08/18(火) 21:20:01.96 ID:r7UgrkkC0
律「待ち伏せ、奇襲か。やっぱ」
紬「それしかないわね…」
唯「…ムギちゃんの力ってお菓子に使うんだよね?」
紬「ええ、そうだけど…」
唯「あのさ、思ったんだけど…私のコー太はアイスを作れる」
澪「そ、そうか!それを食べさせるんだな!?」
律「出来るならいい案だけど、食べさせるなんて無理じゃないか?」
唯「そ、そこは気合でなんとか!ムギちゃんのいっぱい出せるみたいだし数で勝負だよ!」
律「そんな適当じゃ無理だろ絶対…」
唯「むー、じゃありっちゃん何か考えてよー!」
律「う……な、なんもない…」
澪「……お、囮だ。私が囮になる」
唯「え!?」217 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/08/18(火) 21:27:44.98 ID:r7UgrkkC0
律「馬鹿いうなって!澪は力使えないんだぞ!?」
澪「だ、大丈夫。作戦がある。まぁ聞いて」
紬「作戦…?」
澪「私が廊下の突き当たりに突っ立って梓に見つかるのを待つから、
唯達は手前の教室に隠れといてくれ」
律「それで梓が通りかかる瞬間に飛び掛って食べさせるって?」
澪「デコーズを使って私の考えを読めば梓の位置も把握できる
タイミングはまず外さないだろ」
律「なるほど…」
唯「それでいこうよ!俄然闘志がみなぎってきたよッ!!」
紬「早速移動しましょう。…気をつけてね、澪ちゃん」
澪「あぁ…」218 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/08/18(火) 21:31:58.57 ID:r7UgrkkC0
・・・
澪「……」
ぽつーん
澪「……ぅう…」
紬「まだかしら…」
デコ『やっぱりこわいよー、心細いよぉお』
唯「澪ちゃん…」
律「まだだなこれは…」
澪「………」
澪「……!!」
デコ『梓!』
唯「き、来た!」
梓「見?つけた。澪先輩、そんなところで何してるんです?フフフ」219 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/08/18(火) 21:37:34.72 ID:r7UgrkkC0
デコ『今二つ前の教室のところに居る』
律「……」
唯「うっ…緊張してきた…」
梓「他の皆さんはどうしたんですか?」
澪「ひ、必死に逃げてるうちにはぐれちゃったんだよ!来るな!」
梓「……」ズイッ
澪「!!」
デコ『動きだした。今二つ前の教室を過ぎるところ。一つ前の教室手前の扉の前にきた』
律「……」
デコ『ち、近付いてくる…今一つ前の教室の…』
デコ『わああだめだ怖いよお律ぅうう律助けてよおお』
唯「み、澪ちゃんパニくってる!」ヒソッ
律「お、おいおいおいおい」 222 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/08/18(火) 21:44:38.12 ID:r7UgrkkC0
律「こうなったら足音を頼りに…」
梓「ところで澪先輩、まるで餌みたいな棒立ちっぷりですね」
澪「えっ…」
唯「!?」
律(気付かれた!?)
紬「あっ、何これ…良く見たら髪が数本、ドアの隙間から教室の中に…」
律「!? や、やばいバレてるぞっ!」
梓「その通りですよっ!」バキバキィッ
唯「ど、ドアがっ!?」
225 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/08/18(火) 21:59:30.86 ID:r7UgrkkC0
律「くそっ!」
唯「こうなったらヤケだよっ!いくぞお!!ほわtt ぐぇっ!?」ドシュル
紬「唯ちゃんっ!?」
梓「唯先輩学びませんね。だから追試なんてくらうんですよ」
唯「ぁうっ…」
梓「面倒なんで両腕も縛らせてもらっちゃいます」シュルルル
唯「あぐ…!」
律「くそっ…デコーズ!唯を助けろっ!!」
シーン…
律「あ、あれ?おいデコーズっ!!どうしたっ!」
シーン…
226 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/08/18(火) 22:00:16.75 ID:r7UgrkkC0
梓「どうしました?何も出てきませんね。もしかして見捨てられました?w」
律「な、なんで…デコーズっ…!くそっ!いいから唯離せよーっ!!」ダッ
梓「生身でなんて正気ですか?ププ」ザワッ
『離せ』
梓「!?何? …あっ!?」シュルル
ドサッ
唯「あうっ」228 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/08/18(火) 22:01:25.24 ID:r7UgrkkC0
梓「えっ!?な、なんで私唯先輩を離して…」
紬「あ…梓ちゃんの後に…」
┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨
梓「なっ…」
律「こ、こいつは…デコーズ!?いや違う、少し雰囲気が…」
ピクリ
律「! で、でも私のデコーズだ!私の意志に反応してる…」
律「進化したデコーズ…デコーズACT2っ!」
バァァアアア?ン!!
梓「なんだとぉお?っ…!」250 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/08/18(火) 23:27:12.64 ID:r7UgrkkC0
紬「でもりっちゃん、一体何をしたの…?」
律「分からない…ただ私は夢中で唯を放せって…」
梓(私の頭に直接響いてきたあの意思…まさか律先輩の新しい力は…)
律「あ」
梓(まずいっ!!)
梓「状況が変わりました!律先輩からですっ!!」
律「ACT2っ、やめさせろっ!!」
梓「!? こ、このっ」ブンッ
シュバッ!
梓「しまっ、反応が遅れたっ…!」
『攻撃をやめろ』
梓「うっ…!」ピタリ
律「やっぱりそうか!こ、これで勝つr」
バギャ!
律「あがっ!」251 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/08/18(火) 23:28:34.82 ID:r7UgrkkC0
梓「はぁっ…はぁっ…」
律「な、なんでだくそっ…違うのか…?」
梓「…効きましたよ、ちゃんとね……確かに私の攻撃は一度は止まった…
でもそこで効果は切れたみたいですね」
律「短すぎる…な、慣れてないからかっ…?(それとも命令の遂行は一回で完了扱い?)」
律(どっちにしても未知数過ぎる…試す時間が欲しいっ…けどそうも言ってられないな)
唯「でも前よりは断然有利になってきたよっ!」
紬「ええ、食べろと命令するのに成功すればそれで終わる!!」
梓「…調子に乗るなァーっ!!!」ドッギャアアアン!
唯紬「!!!?」252 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/08/18(火) 23:30:39.85 ID:r7UgrkkC0
律「あっ! 唯、ムギっ!!」
唯「うわっ…うんたっ!」ドバドバッ!
紬「ひ…!(あ、足が竦んでっ…)」
律(唯はなんとか自分でガード出来そうだけどムギの能力じゃ全然だめだっ!)
律「ACT2!」
紬「えっ!?」
『後に飛べ』
紬「あっ!」タンッ
スカスカッ
律「よ、よし!」
梓「はは。やっぱり引っかかりましたね律先輩」
律「っ!?」
ドギュル!
律「しまった…ムギに力を使って隙が…!デコーズっ!!」253 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/08/18(火) 23:34:15.70 ID:r7UgrkkC0
ACT2「ギ…ッギギ…」ギシギシ
梓「このままこいつを引きちぎってやるですよーっ!!ははは、どうなっちゃうのかなぁっ!!!!」
律「ぅああっ…!」
澪「律ぅーーーーっ!!!」ダダッ
唯「澪ちゃんっ!?」
律「澪っ!!だ、だめだ来るな!」
梓「(イラッ)澪先輩…大人しくしててって言ったのに…そんなに律先輩が大事なんですか!」
梓「分かってくれないなら澪先輩もお仕置きですよッ!!!」ズッバァアア
澪「で、出ろーっ!!私の力っ!!!」
ズキュゥウウンッ!!!
梓「!?」256 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/08/18(火) 23:35:46.71 ID:r7UgrkkC0
猛スピードで一直線に澪へ向かっていた梓のツインテールが
突如、目標を見失ったかのように力なく蛇行する。
澪「うわぁーーっ!!」ドンッ
梓「あっ!」シュルッ
律「で、デコーズ!やったぞ澪っ!!」
梓「な……」
梓「何をしたんだぁーーーっ!?」
唯律紬「!?」
律(何って…た、体当たりだよな…)
紬「梓ちゃんの様子が何かおかしいわね…」
梓「ど、ど、どこいったんですかッ!?卑怯だっ!出てこいっ!!」キョロキョロ
唯「…もしかして澪ちゃんが見えてない?」257 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/08/18(火) 23:38:50.93 ID:r7UgrkkC0
梓「!?(ど、どういうこと?先輩達には見えてるっていうの!?)」
澪「はぁっ!はぁっ!」
律「澪!梓にはお前が見えてないんだ、チャンスだぞ!」
澪「はぁはぁ…えっ!?」
梓「くそっ!それならそこら中ムチャクチャに振り回すだけだーっ!」ザワワ
澪「!ゆ、唯っ!どうしたらいいんだ!?どう使ったらいいっ!!」
唯「命令して!何でもいいから梓ちゃん止めてっ!!」
澪「分かった!わ、私の力、梓を止めろーっ!」
ガシィッ!
梓「んなっ!!後に居たのっ…!?は、放せっ…!」ジタバタ259 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/08/18(火) 23:40:20.15 ID:r7UgrkkC0
律「今だよ唯ッ、アイスだっ!」
唯「うん! ほぁったァ!」ドビシィ!
梓「うぐっ…!」
唯「ほらっ、ムギちゃん!」
紬「任せて!リリーっ!!」ドシュッ!
紬「りっちゃん、後はお願いっ!」
梓「や、やめろ…!」
律「がってんだ!食らわせろACT2っ!文字通りっ…!」
『食べろ』
梓「この…クソカスどもがァーーーーーッ!!!!!!!!!1」
梓「もぐ」
270 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/08/18(火) 23:56:12.05 ID:r7UgrkkC0
・・・
律「あれ何個目だ?」
澪「さぁ…10個目ぐらいから数えてない…」
唯「あずにゃんあ?ん♪」
梓「ありがとうございます唯せんぱ?い♪」モグモグ
梓「…ウプッ」
唯「まだまだ食べられるよね♪いっぱいあるからね!あーずにゃん☆」
梓「唯先輩にあーんしてもらえるなら…私の胃袋は宇宙ですよ?♪ゥプ」
澪「…ま、まぁ食べてる間しか効果ないから仕方ないだろ…」
律「絶対下痢るぞ…」
紬「そうね、これでは根本的な解決にはならないわ…どうしましょう…」
コツッ
紬「あっ。矢じり」273 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/08/18(火) 23:57:35.18 ID:r7UgrkkC0
紬(そういえばレポートにあった矢のもう一つの効果…)コソコソ
紬「黄金の沢庵を持つこの私ならばっ…黄金の精神も持っているはず…!」サクリ
ボンボンボンボンッ!!
紬「こ、こ、これはっ…!」
律「なんだ?ムギ何をしたんだ!?」
紬「リリー・マルレーン・レクイエム!」
澪「な、なんだ?あっ…」
澪「律ぅ?っ//こっちきて…//」ツンツン
律「み、澪…か、か、かわいいよ…//」
唯「あずにゃあん…あずにゃああああん」
梓「はぅ、唯せんぱい…だ、抱きしめてください…//」
紬「す、凄い…でもこれは第一段階…第二段階が終了する時、世界は完全に変革を遂げる…!」274 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/08/18(火) 23:58:15.97 ID:r7UgrkkC0
唯「あれぇ…なんか股間がもぞもぞする…」
律「これは…」
澪「お、お、お、おちん…//」
――世界は平和の光に包まれた――
『Futanari!GIRLS』-完-その2